あの頃の僕は何を追いかけていた？

専門の同期がお店に来てくれた

まぁこの時期は決まって国家試験の話になる

そしてお決まりのように

「木戸って１回、国家試験に落ちたよね？」

ってなる

そして

「どんな気持ちだった？」

この質問だ

ここまでが１セットの流れだ

僕はご存知の方もいると思うけど１７年前に国家試験に１度落ちているのだ

あの時の気持ちを鮮明に覚えている

『無』だ

なんとも思わなかった

あの当時の僕は就職の決まっていたサロンを辞退していた

遊びほうけていた

国家試験の結果発表の朝

当時は新聞に受験番号が書いてあったら合格だった

でも僕はその日に東京にいた

だから新聞なんて見れない

スマホではなく携帯の頃だったのでネットも見れなかった

朝、学年主任の先生から電話があった

「木戸くん、結果見ましたか？」

だったと思う

僕は

「見てないです」

って答えた

びっくりしていた

そして

「私から言います。落ちてました。これからどうしますか？」

って言われた

僕はちょっとかっこいいかな？って思って

「少し考えさせてください」

って言った

今思えば何もかっこよくない

でも当時の僕はそんな美容師に一生懸命じゃないですから・・・みたいなのがかっこいいという錯覚を起こしていた

でもみんながどんどん働いていく中で僕は無職だった

ついには家にもいづらくなった

なので午前中は卒業した専門に職探しに行っていた

先生たちの休憩所みたいなところで職を探した

先生たちは授業が終わるたびにそこに来た

「あんた、まだいるの？！」

みたいな

半日ぐらいいたのだ

「先生ぇ～！暇ぁ～！」

とか言っていた

そんな中で吉田先生

菱田さんの担任だった吉田先生

隣りのクラスの担任だった吉田先生が言った

「木戸くん、あそこ見て」

指を指した先にはビルの屋上があった

「飛べ！！！！！！」

って言われた

本当にこの先生はこんな先生だった

そして次は

「いいのあったよ！！！」

って見せてくれたのは新薬の人体実験だった

今思えば僕が自暴自棄なら実験体になっていたであろう・・・

そんな感じで

僕は今も美容師だ

だから吉田先生

もし見ていたらお店に来てください

ハサミを渡して

「切れ！！！！！！」

って言います

そういえば今年も国家試験ですね

僕はオールウエーブでした

吉田先生が僕にこうやって教えてくれましたね

「最初に馬蹄形を作るんだよ。木戸くん、忘れないように一度、馬に蹴られてきて！」

言われたことはちゃんと覚えています

きっと一生忘れません

僕は今日も元気で頑張っています

いや、本当にいい先生でしたよ！！！！！！！！

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