究極のダイエット法の代償
僕はパーマを素手でやる美容師だ
カラーもたまに素手でやる
そうするとお客様がとっても驚いた顔をされるのだ
そんな時に僕は
「僕、無敵な手をもってるんです。人生で一度も手荒れしたことないんです。」
って言う
でもそれを言ったときに少し罪悪感がうまれるのだ
『人生で一度も』
それは言いすぎなのだ
今までそこに嘘をついてきた懺悔をしたいと思うのだ
そして本日は人生で一度だけ手荒れをしたエピソードを伝えるとともに僕のような被害者が今後出ないようになる世の中になってほしい
あれは今から20年ほど前・・・
今、20歳の子が産まれた頃
今、30歳の人が10歳の頃
今、100歳の方が80歳の頃
こうやって並べると20歳や30歳の人はすごく変わった感じがするけど100歳の方が80歳って言われてもそんな変わらない気がする
100歳のおじいさんの横に80歳のおじいさんが並んでいてもどっちが年上かわからない気がするのだ
僕が最近、夜のコンビニでよく見るおじいさんはいったい何歳なのか?
はたまた見えてるのは僕だけなのか?
そんな事は今はどうでもいい
あれは今から20年ほど前の僕がまだアシスタントだった頃の話だ
ある先輩がいた
当時、25歳ぐらいの女性の先輩だ
めっちゃ怖かったけどめっちゃお客様から人気のあるスタイリストだった
営業が終わったあとでもよく電話がかかってきた
怖い先輩だったので出ないわけにはいけない
でもなんかよく言っている事がわからないことが多々あったのだ
そして僕は途中で気付いたのだ
「こいつ酔ってんな」
そうなのだ
その先輩は酔うと電話をかけちゃうタイプの人だったんだ
それはわかる
僕も酔うとかわいい子にLINEする癖がある
翌日に絶望することがよくあるのでスマホにアルコールチェッカー機能をつけてほしい
そんな僕を育ててくれた先輩だからまぁ酒癖は悪かった
合コンしてますよ!的な電話すらあったのだ
はじめは次の日に出ないと怒られそうだから出ていたが酔っているとわかった瞬間から出るのをやめた
それでもしつこくかかってくる時は
「うるせぇよ」
って言って切っていた
でも次の日にまったく怒られないのだ
だって記憶がないから
そしてある日、その先輩の中で合コンに限界がきたんだと思う
このままの自分では次のステージに進めないと感じたようなのだ
「痩せよう!」
その先輩はダイエットをはじめたのだ
そんなに太ってはなかったけど次のステージに進化しようと考えたみたいなのだ
でもおかしな事が起こったのだ
出社するときに大量のお菓子を買ってくるのだ
すごく疑問だった
そしたらすぐに謎がとけたのだ
先輩は大量のお菓子を持って僕のところにやってきたのだ
そして
「木戸くん。私、ダイエットしてるからお菓子が食べれないから毎日、大量のお菓子を買ってくるから私の代わりに食べて。そして食べてる姿を見せて。」
とんでもない事を言い出しやがったのだ
とんでもないプレイなのだ
ちょっと嬉しかったのは数日だけ
もう苦痛で苦痛で仕方なくなったのだ
そして数日後に手を見た
めっちゃ荒れていたのだ
これが僕の人生で一度、手が荒れたエピソード
そして
モンスターが出来上がった
究極のダイエット法の代償が僕だ
これが僕の懺悔だ
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KIDO DAIKI
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