声を聞く行ってみる

切ない話


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お客様と話をしていて懐かしい思い出が鮮明に蘇った・・・

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あれは僕が中学2年生の頃・・・

当時の僕は朝から晩までサッカーに明け暮れる日々だった

休みなんてものはほぼなく犯罪でも犯して刑務所に入ったほうが楽しい人生ではないのか?と本気で考えていた

今なら懲戒免職になるぐらいの事を先生たちは普通にしていた時代なのだ

サッカーばかりの僕は勉強をやる余裕と体力はなくグングン成績は落ちていったのだ

面白いように成績が落ちた

困った両親は僕を塾に入れようと考えたのだ

二重苦を与えようとしたのだ

このままでは本気で刑務所に入りたくなってしまう・・・

僕はなるべく楽な塾をリサーチしたのだ

すぐに見付かった

灯台下暗しとはまさにこの事だ

一緒にサッカー部のペアを組んでいたコジマ君が

「うちの塾、楽だよ。塾の時間に宿題ができる。」

って言ったのだ

僕はあることないことを母に話し説得をしてその塾に入った

その塾は畑の真ん中のどこかの会社の事務所の2階にあった

そして絵に描いたような気弱そうな少しハゲかかったおじさん先生が1人でやっていたのだ

完璧な塾だったのだ

普通の塾はというと学校の教室のように前に黒板があって塾のテキストをみんなでやっていくというのを想像すると思う

でもその塾は違ったのだ

ただみんなで黙々と自分の学校の宿題をやる

気弱そうなおじさんが席をまわって

「今の中学生はこんな宿題をやってるんだね」

って声をかけてくれる

こんな塾の本来のスタイルを覆す塾だったのだ

中学3年の夏休みにはちゃんと夏季集中講座があった

みんな500円をもって朝から塾に行くのだ

その500円で気弱そうなおじさんがお昼ご飯を買ってきてくれるのだ

そして宿題をやる

夏季集中講座は時間も長いのでおじさんは自室にこもっているのだ

わからない事があったらその部屋に聞きに行くのだ

でもその部屋がやばいのだ

世界で1番、タバコくさいのだ

もうそのおじさんがタバコの本体かというぐらいくさいのだ

ハゲかかった髪にライターで火をつけたかった

まぁそんな塾だから僕は行かなくなった

真面目なコジマ君は行っていたので帰りに

「コジマ君!塾休むって行っといて!家には連絡しないでって言っといて!」

って言って塾の時間はいつも友達とヨーカドーの横のマックにいた

ただずっと親はそんな事を知らずに月謝を払ってくれていた

もう僕から気弱なおじさんに対しての募金のような気持ちだ

そんな塾でもまぁまぁ人数はいた気はする

でもそんな感じだから見事にみんな高校受験には失敗した

それから数年・・・

僕は入学試験が“親の名前を漢字で書く”っていう問題だった高校を無事に卒業して美容専門学校に入った

うちの専門学校の横にはビジネスホテルがあった

就職先を悩んでいてヨシダ先生に相談しに行ったら

「木戸くん。あそこを見て。あそこから飛んで。」

ってあまりの出来の悪い僕を違う世界に行かせようとさせたホテルだ

その前を学生の時に通っていた時にそこに新聞を配っている人がいた

めっちゃ見た事のある顔だった

あの塾の気弱そうなおじさん先生だった

その頃にはその塾はなくなっていたのだ

先生ではなく新聞配達員になっていた

とても切ない気持ちになった

 

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KIDO DAIKI

KIDO DAIKI

代表Assure hair resort
お客様の”キレイ”のトータルなサポートをさせていただきます。 全てのスタイルはケアをもとに成り立つという強い想いをもち、ヘアケア、スキンケア共に最大限の力を注いでいます。

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2022-01-29 | Posted in ブログNo Comments » 

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