あれは・・・
たしか・・・
2年前の夏の日
あまりにも急激に太ったので心配した高校生の可愛らしいお客様が勝手にジムの予約をしてくれた
生まれて初めてのジム通いだ
その為に新品のトレーニングシューズを買い
1人だと不安なので菱田さんを誘った・・・
菱田さんはトレーニングではなくジムについているサウナにむかったのだ
1時間ほどジムで汗を流し
※1時間が限界でした。そしてジムの写真でもございません。
ロビーで菱田さんのサウナが終わるのを待っていた・・・
そしたら
まわりがざわつき出した・・・
スタッフが走り回っている・・・
でも僕は疲労から顔を起こすことができない・・・
嫌な予感がする・・・
スタッフが僕に近付いてくる
「彼女さんが倒れました」
僕は
いやいやうちのスタッフです
彼女じゃないです
と、否定する元気もない
疲労で顔すら上げられないのだ・・・
そんな僕を見て
「そんなに心配しないでください!ただの貧血ですから!顔を上げてください!」
・・・いやいや落ち込んでるわけじゃないですから
疲れて顔が上げれないだけですから
と、否定する元気もない
菱田さんはその日、忙しくてお昼を食べていなかった
※写真を間違えた。仕事が忙しかった。
いやいや、忙しいは言い訳である
僕は昔、先輩に言われた
「忙しかったからお昼を食べれなかったアピールは自分がお昼を食べる時間が作れない無能アピールである」
と・・・
だから有能な僕はいつでもお昼が食べれている
無能な菱田さんは貧血・空腹・湯あたりの三重苦である
僕は手をひかれて菱田さんが倒れている女子更衣室に連れて行かれる
このままではまずい!!
一方、菱田さんは・・・
サウナで倒れた為、服を着ていない
でも貧血と湯あたりのため声が出ない
「彼氏でも旦那でもない人を呼ばないで!」
と口も動かないのだ
かろうじて朦朧とする意識の中で
「木戸、来るな!」
と念じていたらしい・・・
一方、木戸は・・・
なんとか更衣室を回避する方法をフル回転で考えた
そうだ!!
電話がかかってきたフリだ!!
僕は劇団ひまわりばりの演技で
なってない電話に出る
「もしもし」
回避できたのだ!!
数分後・・・
ロビーに戻る
もうほかのお客さんはいなくなったロビーに戻る
そしたら・・・
車椅子に乗ってぐったりしている菱田さんが!!
誰もいなくなったロビーに僕の笑い声がこだまする・・・
そうだ・・・
この頃からだ・・・
この頃から
菱田さんが僕にこの顔をするようになったのは・・・
「黙れ!ぶさいく!」
と言うようになったのは・・・
そうだ・・・
この頃からだ・・・
ジムに行かなくなったのは・・・
ジムに行けなくなったのは・・・
そんな夏の日の出来事を思い出した・・・。