さよなら。
今、僕の目の前にあるもの
そういったものは地球がはじまってからそこにあるわけではなく何かがあったものがなくなってそこにあると思う
何かがなくなって何かが生まれる
世の中はそんな事の繰り返しだ
そして今、僕の目の前にあるものはその大きな流れの一部にしか過ぎない
そうやって思うようにしているけどやはり寂しかったりする
今から８年前
お店をオープンする時に２つの問題がでた
壁の色が塗れなかった
特殊な壁だったらしくて塗装がつかなかったらしい
そしてお店が影になってしまうほどの大きな大きな木が切れなかった
お店の建物よりはるかに大きな木
それは『ホソバ』だった
嘘つけ！！！！！！ってよく言われたけど『ホソバ』だ
家などの生垣にある幼稚園児ぐらいの背丈の木
本来ならその大きさ
でもお店の前にある『ホソバ』は２階建ての建物よりはるかに大きいのだ
めっちゃ珍しいもののようだ
だから建築の方にも
「切ってはダメ。あれはお客様を集める木だよ。」
って言われた
お店の場所
もともとはうちの祖父の家があった場所だ
うちの祖父は９０歳近い
そんな祖父が小さい頃から大きな木だったらしい
それぐらい歴史のある木
なんか
やるみたいだった
大家さんが何かをはじめたのだ
工事の方が
「休みの日を教えてください」
って言ってきたので教えた
でも休みの前に何かがはじまった
急に人が上から降りてきたのだ
びっくりした
急に降ってきた
僕はパズーの気持ちになった
でも降ってきたのはシータではなくおじいさんだった
そして
縄をそのままで帰っていきやがったのだ
めっちゃ縁起の悪い垂れ下がり方をしてやがったのだ
それからお店の連休
水曜日
お店に来ると重機が沢山だった
僕は車がとめれずに家に車を置きに行った
お客様が来る時間には間に合わせるとの事だった
やはり大昔からある木に何かやっているという事でギャラリーが沢山だった
まぁ全部、老人だったけど
ここは巣鴨かと思った
僕は枝を切っていると思っていた
そしたら
めっちゃ木を抜いていた
待て待て待て
聞いてねぇ
なくなるのかよ！！！！！！！！！！
びっくりだわ！！！！！！！！！！
別れは突然に訪れた
いきなり
外観が変わったのだ
今まではこの塗ることのできないダサい水色の壁は木のおかげで隠れていた
それがめっちゃ見えるようになってしまったのだ
そして建築の方に
「お客様を集める木」
って言われていた木がなくなってからひっきりなしに予約の電話が鳴る
おい
騙しやがったな！！！！！！！！！！！！！
そんな感じで僕よりはるか年上だったホソバ、さよなら。
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KIDO DAIKI
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