菱田さんの調子のり

ふとカレンダーを見ると７月だ

なんかいつの間にか今年も半分終わっていた

コロナな世の中で何をするわけでもなくどこに行くわけでもなく半年が終わっていたのだ

ねずみ年が半分終わったのだ！！！

ねずみを見ると僕は初心を思い出すのだ

あれはお店をオープンしてすぐの頃

社長と呼ばれるだけで嬉しかったあの頃

本当にお客様が少なかった

僕は集客の為に身体ぐらいは売ろうと思っていた

そんなときに

「お話をさせてほしい」

と言ってくる方がいた

身体でさえ売ろうと考えていた僕はそこから集客になればと話を聞きに行くことにした

あれはサイゼリアだった

席につくとなんかよくわからない着ているだけで痩せる服の説明が始まったのだ

なんか変な感じがする・・・

でも僕は集客の為に聞く事にした

そしたら

「仲間を増やしていきたい」

ってワンピースみたいな事を言われたのだ

「木戸さんが３人に紹介していただいてその３人がまた３人に紹介するとどんどん仲間が増えていきます。あっ。ねずみ講ではありませんよ！」

って言いながら描かれた図が

完全にねずみ講だった

僕は

「チューーーーーーーーーーーー！！！！！！！」

って叫びながら逃げ去ったのだ

これが僕の初心だ

調子にのりそうになった時はこの話しを思い出そうと思っている

ここまで必死だったんだと・・・

でも人は調子にのる

その典型が菱田さんだ

聞いていただきたい

あれは数日前・・・

「妹がうみぶどうを獲りたいって言ってる」

って言い出したのだ

今は沖縄には行けないだろ！！！！！！

って思っていたらどうぶつの森の話だった

今更、スイッチとどうぶつの森が欲しくなったらしいのだ

菱田さんは妹想いの人だ

今でもなかなか買えないスイッチを妹の為にどうにか買ってあげたいと考えた

そして近所の電気屋で抽選があるという事を聞きつけた

「手があいた時に抽選券をとりに行っていいですか？」

って行って妹の為に抽選券がもらえる最終日の正午に近所の電気屋に行ったのだ

そして帰ってきた菱田さんは

「これ、絶対に当たる！！！」

って自信満々だった

なぜなら当たりの台数は４５台で菱田さんの抽選券の番号は２８番だったのだ

その３０分前に行った菱田さんの妹が２７番

このペースなら絶対に当たると踏んだのだ

待て待て待て

この日は平日の午後３時

こんな時間に電気屋なんかにはなかなかみんな行かないだろ

でも菱田さんは余裕ぶっていた

当選発表は２日後だった

「当選したらお昼の１２時以降にお店に電話が来るからお願いします」

って言われていた

なんなら

「当選したら」

なんて言葉はなかったかもしれない

「お昼の１２時以降にお店に電話が来るからお願いします」

そして当選発表の日の１２時になった

電話はなかった

僕は

「あれ？１２時だけど電話ないじゃん！」

って言った

そしたら

「１２時以降！！！」

って言われた

もう自分は余裕で当たるって調子にのっていた罰が当たったのだ

そして３時

まだ電話はなかった

僕は

「スイッチなめんなよ！！！！！！！！」

って言った

そしたら

「お店の電話番号、間違えたかな・・・」

って言い出したのだ

でもあからさまにテンションが下がったのだ

そして４時に電話が鳴った

「ほら」

って言われた

あからさまにテンションが下がっていたやつが当たり前みたいな空気を出したのだ

そして

買えたらしい

それも

２台

なのでこの前、欲しがっていたお客様にお譲りしていた

ただ僕は

「お店の電話番号、間違えたかな・・・」

って言っていた菱田さんを忘れない

そして

「スイッチ欲しい人は私に言ってくれれば当てれる」

って言っていた

菱田！！！！！！調子にのんなよ！！！！！！！！！！！！！

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