僕の母親の父親。すなわち僕の祖父。

「なんだ。やっとるだか。」

電話の第一声はいつもこうだ

うちの祖父からの電話はいつもこうだ

そろそろお店の定休日を覚えてほしいしなんなら電話に出るんだからやっているに決まっている

うちの祖父はかなり破天荒な人間だ

母親の父親なので僕と苗字は違う

地元では有名な人だが苗字が違うので僕が孫だというのはあまり知られていない

たまにバレると

「たもっちゃんの孫なのかん」

ってなんとも言えない感じで言われる

僕は何故か

「すいません」

って答えてしまう

でもその答えが正解だと思っている

まぁ破天荒

山に別荘を建てる

家族に内緒でクルーザーを買ってくる

こんなのは昔から当たり前の行動なのだ

豪快と言えばいい言い方だが家族はたまったもんじゃなかったと思う

そして口から出る言葉のどれが本当の事なのかわからない

今でも覚えているのが僕が小学校ぐらいのとき

祖父の家に遊びに行ったら祖母が爆笑していた

「おじいさん、誕生日をずっと嘘ついてた」

って爆笑していたのだ

何十年も自分の誕生日の日にちを嘘ついていた

教えられていた誕生日と真実が違ったらしいのだ

まぁ本当にずっとしゃべっている

お店ではずっと僕の父親の悪口を言っている

うちの父親も変わっている

僕はうまれて３８年間、父親が声を出して笑っているのを見た事がない

だからそんな人間を祖父は本当に嫌いなんだと思う

またいつものように父親の悪口を言っていた

でもふと祖父の腕を見ると変色していた

「おじいちゃん、どうしたの？？」

って聞いたら

「血液がサラサラになるクスリを飲んでるから」

って言われた

嘘つけよ！！！！！！！！！！！！！！！

って思いながらあながち間違いではない気がしてきた

うちの祖父はクスリの用法用量を守らないのだ

薬局で買うクスリが例えば食後に３錠の１日３回だったらめんどくさいので９錠一気に飲む

なんなら１週間分一気に飲む

破天荒なんだ

前に痩せるクスリを飲んだ時

「痩せたから見てくれ！！！」

って言われて体重計を見させられた

でも一気に飲みすぎて身体になんだかよくない反応が起こったようで足が震えだして体重計の針が止まらなくなったのだ

ストロークで１０キロの振れ幅があった

でもクスリの飲み方を知らないのだからしょうがない

病院なんて行った事がないのだ

祖母が昔、倒れた

もう生存確率のほうが低かった

そんな時ですら病院に面会に行かなかったのだ

でも人生で一度、病院に行っている

痔の手術のときだ

「みんなで屋上でお尻の穴を太陽に当てた」

って言っていた

嘘つけよ！！！！！！！！！！！！！！！

でも痔では病院に行っているから自分の嫁より自分のお尻の穴が大事だった

こんな祖父

趣味はゴルフだ

８０をこえた今でも行っている

なんなら高校生のゴルフ部の子よりうまいらしい

ただ

「ずっとズルしている」

って言われていた

高校生相手にズルしてやんなよ！！！！！！！！！！！！

そんな祖父は車の免許の高齢者講習を受ける

お店で勉強していた

いや、ページを開いてずっと他の話をしていた

そしてこのまま忘れて帰った

これを忘れて帰る人間が免許もらえるかよ！！！！！！！！！！！

そんなうちの祖父

長生きしてこれからも色んなエピソードを披露してもらいたいものだ

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