あの日の出来事を僕は一生忘れない

今からちょうど20年前

2001年の夏の話

「千と千尋の神隠し」が流行った夏の話

その年、僕は学生最後の夏休みを謳歌していた

前半は毎日、補習でつぶれてしまったが後半は来年からは社会人だから夏休みは最後だ！って気持ちで毎日のように遊んでいた

バーベキューをやったりジェットスキーをやったり

ギャルがやるべき夏の遊びはすべてやったのだ

そして夏休みがあけた

僕が行っていた専門学校は夏休みがあけてすぐに2年生はサロン研修があったのだ

全員がそれぞれ決められたサロンで1週間の研修があった

僕は駅前の当時、大人気だったサロンで研修をした

大人気サロンだったので本当に大変だった

最後の日に店長に

「1週間、本当に助かりました」

って言われた日は泣きそうになった

その最終日が9月11日

その日、起こった出来事が生涯忘れる事が出来ない事になった

研修が終わったのが19時ぐらいだったと思う

仲のいい専門学校の同級生と打ち上げをする事になった

僕とごっさんとかわいい女子3人の5人

安さだけが取り柄の居酒屋みたいなとこに行った

そのまま解散するのもなんだからオールで遊びに行こうってなった

今の人たちはもう言わないかもしれないけど僕たちは朝までの事をオールと呼んだのだ

女子のうちの1人は1人暮らしをしていた

実家は山奥だったのだ

コンビニもないような山奥から親元を離れて1人暮らししていた

だからその実家に行こうって話になった

車で山にむかう

途中で春は桜が有名な公園によった

春は人で溢れている公園もこんな時期のこんな時間に人なんているわけもなく真っ暗でただただ怖かった

聞こえるのはカエルの声だけ

ただかわいい女子が3人もいるから僕は平気な顔をした

ごっさんは全然、平気そうだった

そうなのだ

ごっさんは特に人の感情をもっていない

恐怖心が皆無なのだ

そこから更に山奥に車でむかった

途中で母からメールが届いた

当時はLINEなんてものはなくメールだ

「テレビ見てる？アメリカがすごい事になってるよ！」

これはアメリカのテロだ

ただ当時は携帯でニュースなんて見れなかったから何がなんだかわからなかった

僕たちはネットの知らない世界より目の前に夢中だったのだ

途中で僕とごっさんはトイレに行きたくなってしまったのだ

ただこんな山奥にコンビニなんてものはない

トイレがないのだ

少し車を走らせていると遠く山の中腹にトイレが見えた

登山者が使うトイレだ

でも目の前までは車では行けない

開けたところに車をとめた

怖がる女子3人を車に残して僕たちはトイレにむかった

真っ暗の道を歩いた

そしてトイレについてごっさんと2人で並んでオシッコをしていた

そしたら女性の笑い声が聞こえたのだ

完全に聞こえたのだ

ごっさんのほうを見たら驚いた顔をしていた

2人で顔を見合わせたのだ

そして走った

僕はこの時、恐怖によってオシッコが途中でとめれる事を知った

車まで2人で走った

あのスピードはオリンピックならメダルに絡める走りだったと思う

車に飛び乗ると女子たちが

「なに？なに？」

って泣きそうになった

絶対にこの子たちの笑い声ではないのだ

そんなの聞こえる距離ではない

そして民家もない

完全に心霊体験をしたのだ

「そういう体験をしたときはコンビニなどの人が集まる明るいところに行ったほうがいいよ！」

女子が言った

ただこんな山奥にコンビニはないのだ

あったらそっちのトイレを使っている

まじでコンビニまでの車内は全員が震えていたしあんなにコンビニが恋しかった事はない

これが僕の2001年9月11日の一生忘れる事ができない出来事なのである

オシッコは途中でとめれるのがわかったしごっさんに感情があるのもわかった

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