『絆』の話

木戸大紀、３６歳

このところ色んな事を考えさせられている

ある人に

「今までの人生とかこれからの人生とか考える時期なのかもね」

なんて言われた

僕たち美容師はありがたい事に色んな人から感謝の言葉を言われる日々を過ごしているから人に優しくなれる

一人の辛さ、自分の無力さを日々実感するから強くなれる

これもその人の受け売りの言葉なんだけど・・・

僕は数年前に親友をなくしている

“たられば”を今更言ってもしょうがないんだけどあの頃にＳＮＳがもっと今ぐらいだったら・・・

連絡を密にとっていれば・・・

こんな事を思っていた事もあった

ＳＮＳは人と人とを繋ぐツールだと思うから

ＳＮＳで僕は仲間が出来た

会っていなくても毎日、やりとりはしている

どんな事をしているかも見ることが出来る

笑った事

怒った事

悲しんだ事

下手したらその日、食べたものまでわかる

この感覚って少しだけ自分を麻痺させるんだと思う

ＳＮＳの中に入りすぎて物語の主人公を見失う

自分物語の主人公を見失う

僕も最近、色んな人に言った

「繋いでくれた“絆”を大事にしよう」

これに対して物語の主人公を見失っていると何も出来なくなってしまうんじゃないか？と思った

自分物語の主人公が自分でない場合

誰かに頼らないと絆がつくれない

絆をつくった人って別にこの人とこの人の絆を繋げてあげようなんて思っていないんだと思う

自分が楽しい場所、自分の居場所を自分でつくる

それが結果として絆になる

そんなものなんだと思う

僕は友人を数年前になくしたことによってＳＮＳがあればとか思いきっと見失っていた部分があった

ＳＮＳは簡単に繋がっている感覚に陥るけど現状なんて会って顔を見て話さないとわからない

人との関係に簡単なんてない

今を大切に生きていく

そんな事を考えた

今日もまた変わらない日常がはじまっていく

僕の物語

それがまた素晴らしい

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